新型コロナウイルス感染症の最近の動向(2026年7月28日)

全国の感染状況

2026年7月下旬現在、九州・四国地方では新型コロナウイルス感染症の患者数が増加しています。大分県、佐賀県、愛媛県などでは、定点医療機関当たりの患者報告数が10.0人を超えており、全国的にも夏季の流行の兆しがみられています。

新型コロナウイルス感染症は、2023年以降、夏と冬を中心に流行のピークを繰り返す傾向があります。神奈川県では、2026年7月下旬時点の定点医療機関当たりの患者数は0.29人と低い水準ですが、夏休みやお盆の帰省・旅行などに伴う人の移動により、今後患者数が増加する可能性があります。

現在流行しているウイルスとワクチン

現在流行しているウイルスは、オミクロン株から派生した系統です。オミクロン株は初期株と比較して重症化リスクは低下していますが、高齢者や基礎疾患のある方では重症化することがあります。

現在のワクチンは、感染そのものを予防する効果は接種後数か月で低下しますが、多くの研究により、重症化や入院を予防する効果は一定期間維持されることが示されています。そのため、特に高齢者や基礎疾患のある方では、重症化を予防するために推奨される時期にワクチン接種を受けることが勧められます。 また、近年は感染後の合併症に対するワクチンの効果についても研究が進んでいます。2024~2025年シーズンの米国の退役軍人約104万人を対象とした研究では、新型コロナワクチン接種者は非接種者と比較して、新型コロナ感染に関連する主要な心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全入院)のリスクが約38%低下し、特に75歳以上では約51%低下することが報告されました。絶対的な効果は大きくなかったものの、高齢者や心血管疾患、糖尿病、慢性腎臓病などの基礎疾患を有する方では、感染による心血管への負担を軽減する可能性が示されており、重症化予防に加え、感染後の合併症を減らす観点からもワクチン接種の意義が期待されています。

新型コロナ後遺症(Long COVID)

新型コロナウイルス感染症にかかった後、多くの方は時間の経過とともに症状が改善します。しかし、一部では、倦怠感、息切れ、集中力の低下、味覚・嗅覚障害などの症状が長期間続く「Long COVID(新型コロナ後遺症)」がみられることがあります。この治療には難渋することがあり、感染そのものを予防することが重要と言われています。
小児では感染後数週間で発症するまれな合併症として「小児多系統炎症症候群(MIS-C)」があります。発熱や全身の強い炎症、多臓器障害を特徴とする重篤な病態です。2026年に報告された約4.5年間の追跡研究では、MIS-Cを発症した小児は、発症しなかった小児と比較して、心血管障害のリスクが約14倍、消化器疾患が約9倍、高血圧が約9倍と、さまざまな健康リスクが長期間にわたり高かったことが示されました。

日頃からできる感染予防

新型コロナウイルス感染症は5類感染症へ移行しましたが、人との接触が増える時期には感染が拡大しやすくなります。基本的な感染予防対策は現在も有効であり、次のような対策を心がけてください。
• 手洗いや手指消毒を行う。
• 室内の換気を十分に行う。
• 混雑した場所では、状況に応じてマスクの着用を検討する。
• 発熱や咳などの症状がある場合は稽古を控え、必要に応じて医療機関を受診する。
• 高齢者や基礎疾患のある方は、推奨されるワクチン接種を受ける。

おわりに

生涯にわたり剣道を楽しみ、健康に稽古を続けるためにも、一人ひとりが基本的な感染予防を心がけ、体調管理に十分注意して日々の稽古に取り組みましょう。

参考資料

• 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2026年」
• 神奈川県衛生研究所「定期情報」
• 厚生労働省「新型コロナワクチンの有効性・安全性について」
• Pediatrics. 2026;158:e2025075578. Long-Term Outcomes of Multisystem Inflammatory Syndrome in Children up to 4.5 Years After COVID-19
• JAMA Intern Med.2026 Jun 15:e261929. 2024-2025 COVID-19 Vaccine and Major Adverse Cardiovascular Events Among US Veterans

医療・安全委員会 森 俊樹